まいまい×ツルヤ―ライブについて

≪お話のお相手≫ まいまいさん…以前、音楽業界にお勤めされていた女性。昨年行ったライブは約70本。好きなバンドは鶴、真空ホロウ、FoZZtoneなど。

収録日:2014年1月26日(日)13:00~ @東京都新宿区

――この質問から始めさせて頂くんですけど、初めて行ったライブは何ですか?

「私、かなり変な部類に入ると思うんですけど…実は私、初ライブが武道館に1人で外タレを観に行ったってゆう。で、ちょっと歳がばれるんですけど、それがデビー・ギブソン(現デボラ・ギブソン)だったってゆう(笑)」

――それに行ったってゆうのは…。

「行きたいから行こうって。友達誘っても興味無いって言うから、じゃあ1人で行くよ! って(笑)。もう本当にデビー・ギブソンが大好きで。当時、デビー・ギブソンってアメリカのティーンの間でカリスマだったから、服とか色々プロデュースしてて、香水も出してて。それはもちろん日本じゃ未発売で。でもちょうど父親がカナダに出張ってなった時に頼んで買ってきてもらうくらい。それをずーっと部屋に飾ってるくらい大好きだった」

――でもそうですよね、外国人だと来日した時に行かないともう…。

「そう。すっごいハマってた時に来るってゆうから。で、東京1公演しかなくて、しかも武道館の南西側の一番上の超最悪な席だったけど、それでも楽しかった!」

――でも洋楽で始まって、今は邦楽のライブに行ってますよね?

「あ、でもそれはデビー・ギブソンだけだったから(笑)。デビー・ギブソンが可愛すぎて大好きで。だからデビーでライブデビューした後、けっきょく行ったのはユニコーンとかBACK-TICKとか、岡村靖幸とか。それで去年も3ケタはいかなかったけどそれくらいのライブに行ってるし、遠征もしてるし。だから行かない人からしたら“なんでそんなに行ってるの?”ってゆう。“逆に何で行かないの?”って訊いたらいちばん多いのが“曲が分からないから”。分からないでノれないのが嫌なのかなぁ~って。日本人特有の周りと違うのが恥ずかしいみたいな」

――それも慣れみたいなところがありますけどね。

「でもそれこそ、アレンジ変えられちゃったら“あれ、この曲なんだろう…ああ、あれかー!”みたいなこともあるし。対バンありなイベントなんて、そっちのバンドの曲ぜんぜん分からないし…」

――ですよね! だからこそみんな対バンイベントを敬遠するんでしょうかね。自分の好きなバンドがちょっとしか出ない上に、知らないバンドがいっぱい出る。

「私、今でこそCzecho No Republic好きだけど、それこそ去年のSANUKI ROCKに行くときに“こうゆうバンドが出るんだけどすっごい可愛いから観て”って友達に薦められて(笑)。じゃあ観てみるかーって、その時1曲も知らない状態で観て、そしてら“あ、確かに可愛い(笑)”って思って東京帰ってきてもライブに行ってる」

――私も最近はもっぱらそれですけどね、何も知らずにライブを観て好きになるってゆう…。

「だからライブハウス…ホールでも、その場に繋ぎとめるのはアーティストの仕事。でも、その場に連れていくのは私たち一般人の仕事なのかなって。こないだのライブ(1/15@渋谷TSUTAYA O-WEST)で渡會さん(渡會将士さん/FoZZtone)がMCで“第5の扉”(ライブハウスに足を運ばない人たちの前に存在する閉ざされた扉のこと。渡會さんの造語)って言ってたそれなのかなって。渡會さん、いつも変な言葉作ってくるけど(笑)」

――第4の扉は説明してくれたけど、第1から第3までが何なのかぜんぜん分からないままに(笑)。

「あさみさん、フォズのきっかけって何だったんですか?」

――私は最初にラジオだったんですよね。『平らな世界』のリリースのタイミングで聴いて、ライブに行ったのはもうちょっと後ですね。『ワインドアップ』の頃。

「じゃあラジオで聴いたなら最初びっくりしたでしょ、本人たちの見た目と曲のギャップに(笑)」

――当時の見た目、怖くて仕方なかったですね、竹尾さんの髪がバッサー長い頃で(笑)。まいまいさんはいつですか?

「私、以前は音楽業界の会社にいて。私自身は担当じゃなかったんですけど、その会社でちょっとフォズ関わってて。そこで『平らな世界』のサンプル盤が置いてあって。あのジャケット見て“打ち込み系かな?”って思って聴いたら“あれ、ロックだ”(笑)」

――よく分からないですよね(笑)。

「メンバーの写真見ても、見た目と音が結び付かない。でも巧いし。“何なんだこの人たち!?”と思ってずるずる来てる。…フォズって、ファンの人たちもクールで正体不明みたいな感じがしません?」

――…どうでしょう、私の周りのフォズファンは逆に…フォズが企画を投げてくるせいもあると思うんですけど、それに対して行動したりしてけっこうガツガツしてる印象なんですけど。

「ああ、でも企画が続いてるってことはみんな参加してるんだろうなって。私、ひとつ感動したことがあって、去年のミナホ(ミナミホイール/大阪のサーキットイベント)の時に心斎橋にいたんですけど、仕事で。ライブ行けなくて。そうしたらフォズが出る前日に店の前をフォズT着たお兄さんが通りかかって。思わず呼びとめて“明日FoZZtone観るんですか!?”って言ったら“ああ、行きます”って言って。“お願いしますからセトリだけでも教えに明日ここに寄って下さい”って(笑)。そしたら本当に来てくれて、セトリ教えてくれて…あ、優しいって(笑)」

――すごい(笑)。

「でもフォズは…、謎解き好きな人はハマるんじゃないかなって(笑)。実際フォズじゃなくても、次に何してくるか分からないバンド好きなんですよ」

――私も変な人たちばっかり好きになります(笑)。

「理解されにくいんだよね、そうゆうのが好きじゃないと。かと言ってサブカルでもない。何か変な人たち(笑)。でも1回ハマっちゃうと、フォズは掘り下げないわけにはいかなくなっちゃうよね。あと、いろんな企画してくれるし。そういうところは真っ当にバンドだなって思う。メンバーが色々バラバラなのに一緒に10年間乗り越えてきてるし。10年バンド続けるって…サラリーマンとかだったらなんとなく会社にいればそれくらい経っちゃうけど、バンドで自力でそれをやるって、本当にすごいなって。『LOVE』を聴いたときに本当にすごいなって思って」

――ああ、『LOVE』は本当に、もう。

「仕事で関わっちゃってると変な思い入れとかができちゃうんだけど、フォズに私自身は当時関わってなかったから、それも良かったのかなって。その頃はそういう仕事で行けずじまい、聴かずじまいの音楽とかライブがたくさんあって」

――でもそうですよね、私もこの界隈で名前はよく聞くけど観る機会がぜんぜん無くて、でもまぁいいかって済ませてるバンドたくさんいますし。聴かず嫌いは多いかもしれない…嫌いまで行かない、むしろただ聴いてないってゆう。

「だからやっぱり対バンしてくれた方が良いなぁ。それこそフェスで、お目当てのバンドの順番待ってる間に観ました、みたいな(笑)。私、大きい野外フェスよりもラウンド型の方が好きで。サーキットの方がライブハウスでやるからバンドの力量が出るというか。もちろんそのハコのPAスタッフの力量もあるけど、ある程度まで来ちゃうと“このハコのこの機材ではここまでの音しか出せない”とか“ここはちょっと条件悪い”とか分かるし、それをバンドの力量でどうクリアしてくるかってゆうのが分かるのがライブハウスの方だから。ちゃんと聴こうっていうならラウンド型の方が絶対面白い! …やっぱりライブで、ちゃんと楽器の音が聴きたいんだなって」

――ええ。

「…業界離れたってゆうのも、純粋に楽しみたかったっていうのが。1回業界にいたから大人の事情が垣間見える時もあるけど、だからこそフォズとかセカイイチとか鶴とかみたいに、そうゆうバンドが面白いんだと思う。大人の事情を乗り越え、自力で何とかする実力もあり、かと言って馴れ合わないバンドが」■

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