まっさん×ツルヤ―ライブについて

≪お話のお相手≫ まっさん…北海道網走市在住の既婚男性。30歳を過ぎてライブハウスデビューを果たして以後、地方在住ながら日本各地のライブに通う。

収録日:1月26日(日)21:30~ @東京都世田谷区

――ライブ、初めて行かれたのっていつですか?

「本当にライブハウスに行ったのは、2005年の12月。僕はフジファブリックがすごく好きで…フジファブリックの2ndアルバム『FABFOX』の“モノノケハカランダツアー”に行ったのが最初です」

――でも、地理的にも難しくないですか?

「あ、でも当時は室蘭ってゆう、札幌まで車で2時間くらいの所に住んでて。道民からしたら2時間って通勤圏なんで(笑)、札幌にライブに行ってました。その頃はこんな生活になるとは思ってなかった。逆に今は網走ってゆう、空港がめちゃめちゃ近い場所に住んでるんで、これは生かさなきゃいけないと。でも、室蘭時代も地理を生かしてフェリーで青森行ってましたね」

――すごいですよね。初ライブって1人で行かれたんですか?

「うん、1人。行ったこと無いからシステムが分からなくて、飛び込むまでが本当に怖くて。“30代からのライブデビュー”ってゆう…歳をとってからのデビューが本当に怖かった。だから2003年くらいから邦楽を聴きだしてるけど、けっきょくフジファブリックが2005年末ですからねぇ。3年くらいためらってる」

――音楽自体は昔から好きでした?

「20代までの頃は、洋楽の方をよく聴いていて。中でもヘビメタが大好きで。ただ、2003年からBUMP OF CHICKENを聴き出して…どうもバンプの『スノースマイル』を買ったあたりからみたいなんです」

――そうですね、時期的に『jupiter』の後の…。

「そう、『jupiter』と一緒に買ってるです! 他にもあの時期、アジカンだったりエルレだったり、ACIDMANだったり。あとはメレンゲとかシュノーケルとか、キャプテンストライダムも好きで聴いてましたね。当時、よくスカパーとかの音楽チャンネルを観ていて…その中でもライブ番組ですね。それでライブハウスっていう空間の一体感に憧れました。そこから始まった感じですかね」

――洋楽のライブには行かれてなかったんですか? 来日公演とかは。

「ああ、U-2の東京ドーム公演くらいは行きましたよ? ドームとかコンサートホールとか、席のある公演とかは学生の時にあったんだけど。ライブハウスは行ったことなかった」

――みんな言うんですけど、洋楽聴く人って邦楽に流れなくない? って。

「うん…なんだろうね、邦楽をバカにする傾向はあって。でも、一口に洋楽って言ってもアメリカだったりイギリスだったりあるわけで、けっきょく日本とそれ以外って括りで比べる時点で間違ってるじゃないですか。だから、洋楽聴いてる頃は邦楽をなかなか聴く機会がなかったんだけど…ちょっと空白期間を置いてから邦楽を聴くのが逆に新鮮で。それでバンプとかアジカンとか聴きだして、そこからですよね。それでフジファブリックに初めて行って。ライブハウスというものに行けるようになって。その翌年の1月にラン・ラビット・ラン」

――バンプですね。

「そう、それからDOESにも行って、転がるようにずっと行ってる」

――東京でのライブとかまで行き出したのは、何きっかけなんですか?

「僕がいろいろ遠征に行くようになったのは、つばきっていうバンドに出会ったからなんだよね。つばきは、2007年くらいに札幌で観たのが僕にとって最初だったんだけど、その頃はまだ遠征とかはしてなくて。でも、2010年に彼らがそれまでの所属事務所との契約を切って、自分たちだけでやっていくってなって、“正夢になった夜”っていう企画を始めたんですよね。毎月10日に全国各地のライブハウスで企画をしていくっていう。その企画はだから年間で12回あったんですけど、でも僕は8回とかしか行けなくて。代わりにその年に25本くらいつばきのライブを観たんですよ。本当に歯止めのきかない遠征生活というか」

――すごい。

「なんで東京に行くようになったかって言うと、行きやすかったっていうのもあるけど、2010年頃から一色君(一色徳保さん/つばき)の覚悟みたいなものを感じられて。“俺は音楽を続けていくよ”っていう。そういうバンドの切迫した感じみたいなものが伝わってきて、これはこっちも覚悟を決めなきゃな、と。それでまた同時期に、これは僕の極めて個人的な話なんですけど、学生時代の東京の友人が亡くなって。東京に行く、ライブに行くなんて“お金がない、時間がない”っていくらでも言い訳できるじゃない。でも、もうそういうのはやめようと。やりたいことはやりきろうと決めたのが2010年だったので、だから今、僕はここにいるんですよね」

――今後の音楽との関わり方って、何か考えがありますか?

「今後に関しては、つばきとかLOST IN TIMEとか、セカイイチ、FoZZtone…などなどのバンドから力をもらって生きてきたので、恩返しがしたいなと。音楽業界じゃなくてミュージシャンに対して恩返しがしたい。そういうことをずいぶんと前から考えていてまだ形にできていないので、今年はもっとイベントとかに関わっていけたらなとは思っています。そのためには、もっとミュージシャンの考えが分かるようになりたいんですよね。僕の希望だけでやっても空回りしちゃうんで、“どんなイベントがあったらミュージシャンは嬉しいのか?”ってことを訊いていけたらなと」

――それ、すごく興味があります。

「僕らはいつもファン目線でばっかり物事を見て、それで良かれと思ってやるんだけど、実はミュージシャンは違う考えを持っているんじゃないかって。あとはイベンターさんとかの視点とかも、そういうリアルな部分の考え方を知れたらなと。思いとしては、音楽を誰かに届けたい。次の世代…僕らだって30代…40代になっていくので、今度は10代や20代に僕らが好きな音楽を届けたい。カッコいい言い方をすると“誰かの未来を作りたい”みたいな理想があって。よく海北くん(海北大輔さん/LOST IN TIME)がライブで言うんですよね、“明日も頑張ろうって思ってもらえるライブをする”って。僕もそう思えるこのとのお手伝いができたらすごく嬉しいなって。まだ僕はいちファンなんだけど、そういうことを伝えていくためにはやっぱりファン目線だけじゃなくて、ミュージシャンやイベンターさんが考えていることを知りたいなと」

――なるほど。

「それで、いずれは札幌で企画をやりたいんですよね。東京はもちろんミュージシャンに来てもらうための交通費もかからないし、お客さんもいっぱい入るけど。それでも“札幌に行きたい”って言ってくれてるミュージシャンはたくさんいますし、なによりも北海道のお客さんに観てもらいたい。“観ないと一生損するよ!?”っていうたくさんのミュージシャンを、とにかく道産子に伝えなきゃなと思ってます」■

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