佐々木×ツルヤ―ライブについて

≪お話のお相手≫ 佐々木さん…宮城県出身大阪府在住の男性。FoZZtoneのファンで、2013年12月に第1回が開催されたFoZZtoneセッション会で、ギターとヴォーカルでステージに立つ。
収録日:2014年4月21日(月)19:00~@東京都品川区

――以前も伺ったんですけど、ひとまず初めて行ったライブをお訊きしていいですか?

「中学校の時に、友人に誘われてSOPHIAのライブに行きましたね。卒業前の記念に行こうぜ的な」

――SOPHIAは当時よく聴いてたんですか?

「その友達が文化祭でコピバンしてたり、その流れで僕も一通りのアルバムは聴いていたんで、“よっしゃ行こう”と。思い返せば面白い構成のライブで、アルバムのツアーだったんですけど、ライブの前半はそのアルバムを収録順に丸々やって、後半はみんなが知ってるメジャーな曲をドバーっとやる、そういうコンセプチュアルなライブでしたね。だから、レコ初ライブって全部そういうもんだと思ってました。後々他のライブに行ったら“あれー? 曲順がぐちゃぐちゃだ”みたいな(笑)」

――だからこそ気になるんですけど、2回目のライブって何だったんですか?

「その次は…たぶん高校生の時に行ったBUMP OF CHICKENですね」

――それはどういった経緯で?

「バンプは…これまた友達から系なんですけど(笑)。高校入ってカラオケなんぞに行くようになって。で、“お前、声質が似てるよ!”的な持てはやされ方をした時期があって、“そうかな、じゃあ勉強しなきゃ!”ってな具合に聴き始めたんですね(笑)。それで、その友達に誘われて行きました」

――その友達は、中学の時の友達とは違う方ですか?

「違う友達です、高校に入ってからの」

――その時点では、自分で特に“このバンドがすごい好き!”って自覚するバンドは無かったんですか?

「今挙げた2組はかなり聴いてましたけど…あと、くるりも聴いてましたね。中学の頃に『虹』って曲をたまたまラジオで聴いた時、初めて音楽で泣いてしまって(笑)。ああいう、行間から情景が立ち上る系の曲が好きになる端緒というか…それこそ今でもFoZZtoneのそういう曲が大好きだし…慌ててバンド名と曲名をメモしてCDショップで探して~という、例の手順(笑)を踏んだのも初めてだったし…“周りが聞いてるから”とかそういう動機の外で初めてCDを選んだという意味で、ある種の原体験を与えてくれたバンドですよね」

――じゃあ、自発的にライブに行ったのっていつですか?

「自発的にだと、FoZZtoneが最初かもしれない。大学入って東京に来てからも、だいたい友達に誘われてしかライブには行ってなくて…」

――とりあえず、いつの時代でもそういう系の友達とは付き合いはあるんですね(笑)。

「本当ですね! 全部違う友達で、そして常時受け身という(笑)。大学のその友達はACIDMAN大好きで、そこら辺のライブに誘われたら、そりゃホイホイ付いてくわけですよね(笑)」

――だからやっぱり、音楽やライブが好きではあったんですよね(笑)?

「そうですね、ACIDMANも結構聴いてましたし。それで、その友達が当時FREENOTEってバンドが好きで、そのFREENOTEとFoZZtoneと、a flood of circleとUNISON SQUARE GARDENが一緒にやったイベントがあって。“たまには俺の誘いにも乗ってよ”って行ったのが最初の自発的ライブ参加ですかね。考えてみりゃ、大箱じゃないザ・ライブハウス的な場所に行ったのもそれが初めてかもしれない。渋谷のLUSH」

――FoZZtoneは何で知ったんですか?

「これも大学の頃、池袋のタワレコで『景色の都市』(メジャーデビューミニアルバム)を試聴してですね」

――当時から今ほど入れ込んでました?

「いや、徐々にですね。印象的なのは、僕の初Garageで、渡會さん弾き語りの『再脱走のテーマ』を聴いた時ですかね。『カントリークラブ』(1st フルアルバム)が発売された当初、『大脱走のテーマ』で現実から脱走して、非現実的な楽曲群を経ながら段々と現実に戻って『平らな世界』に辿り着く、で、また『大脱走のテーマ』から延々とループして聴けるようにこのアルバムは作った、みたいなことをメンバーの誰かが言ってたんですよね。それから時を経て、今度は『再脱走のテーマ』…続きを作るというね。 “やっべぇ!! やっぱり時間はループでなく螺旋のように続いていくんだね、渡曾の兄貴ぃ!!”って(笑)。まぁ、手前勝手な解釈でしかないんですけど。ちょうどその頃、個人的に転職しようか悩んでて、そのタイミングで“ループから抜け出して来た歌”を聴かされて、予期せぬ形で背中を押されてしまったというか。“酷い、不意打ちだわ! 洞窟の生き埋めよ! 空が落ちて来たみたい!”みたいな、雫ちゃん的瞬間を覚えてますね(笑)」

――それで思い切って転職を(笑)。

「うーん? それがきっかけで…うん、そういう事にしときます(笑)」

――今現在、FoZZtone以外で聴くアーティストは?

「邦楽でまともにCD買ってるのはFoZZtoneだけですね。次点でperidotsとか。あとはもう、海外のインディポップですね。一時期、盛岡に住んでた時に、マイナーなインディポップ大好き! って人がやっているクラブイベントに行くようになって。知らない曲ばかりだけど軽やかで気持ち良いんですよね。面白いジャンルだなと思って、そこから各国のインディポップを聞き漁るようになりましたね」

――クラブイベントですか。

「それこそFoZZtoneと出会った時期くらいからクラブにも行くようになりまして。クラブは自由度の高さが魅力なんですよね。曲は途切れないし、好きな時にお酒も買いに行けて。休憩してても、“お、この曲いいな”と思ったらフラっとフロアに戻って好きな時に踊れる。フェスならいざ知らず、ライブハウスでは中々そうはいかないじゃないですか。だから、ライブとクラブと、棲み分けして音楽の現場を楽しんでいるというか。ライブはもう、ほぼ楽曲に聴き入るために、後ろの方から…何なら音響の贅沢なショートムービーを断続的に観てるような感じで楽しんでます。一方クラブではブンブン頭振って(笑)」

――そうなんですね。私、クラブには全く縁が無いんですけど。

「楽しいですよ。ライブハウスに比べて、不健全な感は否めないし、それを美化したいわけではないんですけど。まぁ、頭を空っぽにして踊るのに特化したツールとしてね、楽しいですよ、と」

――そんな中で、ギターはいつから始めたんですか?

「ギターは、大学3年生の後半くらいかな」

――割と遅めなんですね。

「そうなんですよ。最初、あれが弾きたかったんですよ、バッハの『主よ、人の望みの喜びよ』。実は今でもちゃんと弾けはしないんですけどね(笑)」

――なんで(笑)!?

「弾きたいと思ったきっかけは本当に全然覚えてないんですけど(笑)」

――それまで散々ギターロックを聴いてきた中で(笑)。

「そうですね(笑)、ただ、そこは楽器屋の人に“普段聴いてるのはロック寄りです”みたいなことをちゃんと伝えたんでしょうね、多分。結局エレアコを買いました」

――特に誰かに習うわけでもなく発表のアテもなく、ただ黙々と独学でやってたんですか(笑)?

「そうそう(笑)。例のACIDMANが好きな友達はちゃんと軽音サークルでベースを弾いていて、“バンドやりたいよね”って話はしてたんですけど。大学3年生で初めて楽器を買った僕が、すぐにまともに演奏できるレベルになるはずもなく、そのまま卒業してしまい」

――それじゃあ、バンドやろうって話が頓挫して社会人になって、ギターは1人で弾き続けて…って感じですか?

「そうですね、だからこの前のセッション会がとても楽しかった。まず、スタジオに入るっていう行為がね、本当に楽しくてね。みんな、メンツが揃うなら兎にも角にもスタジオに入れば良いんですよ(笑)。でも、ちゃんとバンドも組んでみたかったな。それこそ、初めてギターを買った時って“もしバンド組んだら”とか色々と妄想しましたもんね。覚えてるのが、バンド名を『3rd party』にして、その1stアルバムを『2nd opinion』ってタイトルで出すという目論見(笑)」

――あのさぁ(笑)!!

「“結局何番やねん!”みたいなね(笑)。そういうのすごく、やってみたかった(笑)」

――逆に、50代くらいでやったら面白いんじゃないかとか思いますけど(笑)。

「じゃあ長い目で見て…そういう目標に向かって生きていこうと思います(笑)」■

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